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鉄道コラム「鉄道仲間」座談会


共同通信NEWSmartの人気コラム「鉄道仲間」の執筆者4人が座談会を開きました。「ママ鉄」「システム鉄」―。それぞれ鉄道への熱い思いを語りました。

☆植村昌則 1957年、金沢市生まれ。小学生時代は京浜東北線、阪急電車の運転士になるのが夢。山手線では駄目だったらしい。共同通信業務局勤務。

☆篠原啓一 1958年、東京都生まれ。「乗って役立たなければ意味がない」とノスタルジックな趣味とは一線を画す。共同通信編集委員。

☆飯田裕美子 1961年生まれ、横浜市出身。きっかけはママ鉄だが、福岡・盛岡勤務をきっかけにローカル旅にはまる。共同通信社会保障室勤務。

☆八代到 東海道新幹線と同じ1964年、東京都生まれ。小田急線沿線で育つ。好きなテーマは鉄道史、時刻表、地図など。共同通信文化部勤務。

鉄道仲間


皆さん、鉄道好きになったきっかけというのはあるのでしょうか?

(八代)きっかけは、ないですね。多分、小さいころは誰しも乗り物好きで、年齢を経るにしたがって興味を失う。そうでない何割かの希有な例が、こうなるのかもしれない。ある意味、子どものままなのかも。

(植村)僕は幼稚園を抜け出して路面電車を眺めているような子どもだった。小学校にあがってからは、紙に架空の島と路線図を書いて、架空のダイヤをつくったりしていた。鉄道は、裾野が広いんです。線路があり、車両があり、駅があり、旅行があり、模型があり、写真があり―。無限に派生するのがおもしろいところ。

(飯田)わたしは「ママ鉄」だと言ってきたけど、思い返してみると、子どもの時に、家の近くに鉄道が通じるという経験をしているんです。横浜のJR根岸線ですが、何もなかった所に駅ができて、電車が来て、どこか知らないところに連れて行ってくれる―。そのころから鉄道が好きになったのかもしれません。

(篠原)僕の出発点はプラレール。今も人気のある鉄道のおもちゃだけど、これのすごいのは線路。大人用の模型と違って、子どもでも簡単に、無限につなげられる。鉄道の世界の広がりを楽しむようになった原点はここだと思います。


最近は女子鉄ブームとも言われていますね。

(飯田)2005年ごろに何冊か「女子鉄」の本が出たのがきっかけです。中でも酒井順子さんが「物を集めなくても、電車の顔が見分けられなくても、それでも、鉄道好きと言っていい」という「女子鉄宣言」をしてくれて、以来、女性たちが続々とカミングアウトしました。

(植村)鉄道はこれまで極めて特殊な、オタクだけの趣味とされてきたので、女子鉄ブームはすごくいい。鉄道は、安全で大量で高速で正確という4大要素がなくちゃいけないけど、そこに、近年、快適性という要素が加わってきた。それが女性や子どもを近づけたんじゃないかと思います。


今日は、鉄道にまつわる思い出の品をお持ちいただくようお願いしましたが。

鉄道仲間(八代)僕は、時刻表の復刻版(写真右)。鉄道好きもいろいろですが、僕の場合は「システム鉄」で、車両の運用から乗客の流れまですべてが計算され、システムとして寸分違わず動くところに魅力を感じる。そのシステムを凝縮したのが、時刻表なんです。

鉄道仲間(植村)僕も時刻表だけど、これは1970年に買って、ずっと大事にしてきた実物(写真左)。旧国鉄の全盛期で、今ではなくなった在来線の特急、急行の名前も載っている。僕は、電車の愛称から、その地域への想像をふくらませたり、漢字を覚えたり、地名を覚えたりするのが好きだった。最近はそうした魅力ある愛称が少なくなっているので、これを見るとなつかしいです。



鉄道仲間(飯田)わたしは、さっき、篠原さんも言っていたプラレールを持ってきました(写真右)。息子が生まれてから、夫がそれまでひた隠しにしていた“鉄ゴコロ"を広げて、息子と一緒に休日ごとに青い線路を買ってくるようになって―。米国に1年間子連れ留学した時は、衣装ケース2箱分の線路と電車を持って行って、向こうの子どもたちに日本の技術を見せてあげました。これは、車両の大きさも、子どもの手にちょうどいいサイズなんだと思います。

鉄道仲間(篠原)そうそう。これ。僕のころはモーターがついていなかったので、手で動かしていたけど、それでも楽しかった。僕の思い出の品は、東京都多摩市の市政施行を記念した京王電鉄の切符(写真左)。僕は今も、多摩市に住んでいるので、地元の電車である京王電鉄にはこだわりがある。
今日は現物じゃなく写真しか持ってこられなかったけど、最近、こんな模型づくりにも凝っているんです。Bトレインショーティーというシリーズで、京王だけでもこれだけのラインナップがある。

鉄道仲間(飯田)これ、全部、篠原さんがつくったんですか?

(篠原)休みの日にね。この模型は実際よりも短めにデザインされているから、長編成の列車を小さな部屋でも楽しめるのが画期的。つくりだすと4両編成とかにしたくなっちゃう。

(植村)京王の5000系は名車だよ。このフロントウインドウはすごい技術。

(八代)僕は8000系が好き。

(篠原)通勤電車で初めて冷房がついたのも5000系で・・・・

・・・この後も、鉄道談義は延々と続きました。