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尖閣諸島を失うといくらの損失になる?


尖閣諸島

Q:尖閣諸島を失うといくらの損失になるのでしょうか。

A:経済産業省や民間シンクタンクなど、いろいろな機関に取材をしてみましたが、はっきりとした損失額は分かりませんでした。

尖閣諸島の周辺には、石油や天然ガスなど資源が埋蔵している可能性が高いものの、日本や中国などの主権問題が複雑に絡み合っているため、本格的な資源調査をしていないという事情もあるようです。

少し古いのですが経済産業省が1994年に取りまとめた試算によると、日本の沖縄・東シナ海の石油、天然ガスの埋蔵量は最大5・18億キロリットル(石油換算)で、日本の年間需要の1・6年分に相当するそうです。おおよその金額に換算すると、約22兆円ぐらいです。

ただこれは沖縄・東シナ海の全域が対象で、そのうちの尖閣諸島周辺の埋蔵量までは試算していません。加えて、採算性や技術的条件を考慮しない最大値なので、掘るのにコストがかかりすぎれば油田やガス田を放っておく以外なく、実際に採掘できる量はそれよりも少なくなります。

一方で、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構によると、熱水中に含まれる銅やレアメタル(希少金属)が積もってできる「海底熱水鉱床」が石垣島の周辺で見つかっています。もしかしたら尖閣諸島の周辺にも、新しい鉱床が見つかる可能性があるかもしれません。

水産資源についても調べてみました。内閣府の沖縄総合事務局によると、尖閣諸島の周辺は冬場になるとマナガツオという高級魚が取れる好漁場だそうです。

ただ政治的な配慮や、波が荒いため出漁する船は少なく、地元は安全操業に向けた環境整備を求めています。

尖閣諸島の経済的な価値はともかく、この諸島をめぐる国際事情が周辺開発の妨げとなっているのは間違いありません。天然資源の乏しい日本にとって、早期の問題解決が急がれるのではないでしょうか。(共同通信経済部記者)


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