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予算執行の状況がほとんど問われないのはなぜ?


予算

Q:予算段階では慎重に審議され、かつ明細も世間に公表されるのに、予算執行の状況がほとんど問われないのはなぜ?

A:政府や国会は、さまざまな観点から予算の執行に目を光らせて政策を評価し、結果を公表していますが、地道な取り組みであまり脚光を浴びていません。民主党政権発足後、各省が実施している事業が有効かどうかを判断する「事業仕分け」が注目されたのは、公開で判定される明快な手法に理由があると思います。

予算が適切に執行されているかどうかを評価する仕組みづくりは、積年の政策課題です。現在の政府の取り組みは、
(1)財務省による予算執行調査
(2)総務省による政策評価
(3)会計検査院による検査
などがあり、各省も政策評価の専門部署を設けて毎年度に報告書を公表しています。

また、会計検査院が検査した決算については、国会の衆院決算行政監視委員会や参院決算委員会で審議されています。政府は、こうした取り組みを今後の予算編成に反映させることで予算の効率化を目指しています。

不要となり使われなかった分は剰余金として翌年度予算に計上されます。剰余金の半分は国債の償還に充てることが法律で決まっていますが、残り半分は政策の財源として活用することができます。2009年度予算では約1兆6千億円が剰余金となり、うち約8千億円が10年度補正予算で計上した追加経済対策として使われました。

しかし、予算編成に比べると、こうしたプロセスはあまり注目されていません。理由として、調査や評価の対象となる事業が限られることや、著しい無駄が見つからなければメディアが大きく取り上げないこと、各省庁による自前の調査では評価が甘くなりがちなことなどが挙げられます。

これに対し、予算執行の無駄を洗い出す事業仕分けは、公開の場で事業が必要かどうかを判断する手法が分かりやすいことや、第三者の視線にさらされ厳しい評価が下されることなどから大きな注目を浴びました。

ただ、事業仕分けの結果に法的な拘束力はなく、派手に判定したものの政策見直しに結び付いていないなどの問題も指摘されています。

民主党政権は、09年10月に予算の執行プロセスの改革について閣議決定し、各省の副大臣級でつくる「予算執行監視チーム」の設置や、最優先すべき政策の成果を目標として定める「政策達成目標明示制度」の導入、予算の執行状況の定期的な情報開示などを打ち出しました。

こうした改革が確実に実を結ぶよう、検証を続ける必要があると思います。(共同通信経済部記者)