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中国総領事館移転に伴う新潟と名古屋の土地売却に問題はないの?


Q:新潟市と名古屋市で中国総領事館移転が計画されている。広大な土地を移転用地として中国側に売却することに問題はないのか。

A:結論から言うと、新潟市も名古屋市も、現時点では住民の反対により、移転用地売却は事実上凍結されています。

新潟市は、中国側の打診を受け昨年8月、JR新潟駅に近い同市中央区の小学校跡地(約1万5000平方メートル)の売却を内定しました。しかし、9月に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で状況は一変。売却に反発する電話やメールが千件以上も寄せられ、市は11月、「市民の理解なくして売却できない」と、中国側に内定の凍結を伝えました。


中国領事館


名古屋市で問題になっているのは、名古屋城のすぐそばにある同市北区の約3万1000平方メートルの国家公務員宿舎跡地です。管理する東海財務局は2010年4月15日から3カ月間、学校や病院など、公的な使用目的に限り、売却先を募集。そこに手を挙げたのが、愛知学院大学と中国総領事館でした。

財務局は当初、9月には審査を終え、10月には有識者で作る諮問機関にはかった上で、2010年度内に売却を決める見込みでした。

ところが、9月の尖閣諸島沖衝突事件で日中関係が急激に冷え込むと同時に、一部の住民が「中国に広大な国有地を売却するのは問題だ」と反対運動を始めました。運動はインターネット上で火が付き、財務局に苦情が殺到。脅迫のような電話がかかってくることもあったそうです。

あまりの反響の大きさに、財務局は「しばらく様子を見たい」と審査を事実上凍結しています。

名古屋の中国総領事館の現在の敷地面積は約360平方メートル。一方、取得を希望しているのは約1万平方メートルで、大使館なら珍しくありませんが、総領事館としては国内最大になるそうです。反対派は「なぜ現在の約30倍もの土地が必要なのか。有事の際には軍事利用されるなど、危険な目的があるのではないか」などと不安視しています。

審査中の案件なので、財務局や総領事館が利用目的について説明を避けていることも不安を募らせる背景となっているようです。

東京大の高原明生教授(中国現代政治)は「日本も海外に多くの土地を所有しており、中国が日本の土地を買ったからといって心配する必要はない」と指摘。東洋学園大の朱建栄教授(中国政治外交)は「中国側は目的を説明し、時間をかけて住民の理解を求めるべき」と話しています。(共同通信名古屋編集部記者)