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義援金の送り先に迷います。どこに送ったら効果的でしょうか?

義援金

Q:東日本大震災の義援金や寄付金の窓口がたくさんあってどこに送ったらいいのか分かりません。どうしたら効果的に役立ててもらえるのでしょうか?

A:震災関連の寄付金の使い道には、大きく分けて、(1)被災者に直接届けられるもの、(2)特定の団体の活動資金に充てられるもの、(3)他の団体への寄付を仲介するもの―があります。

また、今回の震災では被災地が広範囲にわたっており、対象が被災地全域か特定の地域かという違いもあります。

被災者に直接届けられる義援金の窓口として最も大きいのは、日赤と中央共同募金会です。両団体には国内だけでなく世界中から多くの義援金が寄せられ、その額は3月30日時点の集計で計700億円を超えました。このうち、約594億円が寄せられた日赤は「阪神大震災の3倍以上のペース」としています。

ただ、両団体への義援金が被災者に届けられるまでにはかなり時間がかかりそうです。今回の震災では、被災地域が東北から関東までの複数の県にまたがっており、被災地の自治体などで構成する「義援金配分委員会」を立ち上げる目処が立っていないためです。

しかし、兵庫県震災復興研究センターの出口俊一事務局長は「被災者は当座の現金を必要としている。国が主導してでも、一刻も早く配分を始めるべき」と指摘しています。

被災自治体が兵庫県のみだった阪神大震災では、震災発生から2週間後には一次配分として1世帯当たり一律10万円が支給されました。

最終的に集まった義援金は総額約1800億円に達しましたが、被災世帯数も多かったことから、家屋の損壊状況に応じた配分基準の決定などに手間取り、配分が完了したのは震災発生から2年半後。

被災世帯に渡ったのは平均で総額約40万円と、1世帯当たり1千万円単位の配分があった北海道南西沖地震など過去の災害と比べて大幅に少ないものでした。

今回の震災では、被災世帯数が阪神を大きく上回る見通しで、両団体は引き続き義援金への協力を呼び掛けています。

両団体とは別に、宮城、福島、岩手各県など被災地の自治体では、それぞれの自治体の被災者に向けた義援金を独自に募っています。広範囲の調整が必要ない分、比較的迅速に被災者に届けられる可能性はありそうで、実際、福島県は既に「義援金配分委員会」を立ち上げました。

ただ、こうした義援金についても「被害の全貌が不明なままで、現時点で判明している被害にだけ配分するのは不公平になる」(自治体担当者)などの理由で、配分の見通しが立っていない所も多いようです。

これらの自治体では、今後の災害復旧や復興に充てるための寄付金も独自に募集しており、被災者向けの義援金とは別の窓口が設けられています。

特定の活動資金として寄付金を募集している民間団体としては、被災地への物資輸送などを行う「Civic Force」や、医療チームを派遣する「国境なき医師団」「AMDA(アムダ)」、避難所の子どもたちに安全な遊び場を提供する「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」などがあります。

また、環境問題などに取り組む「Think the Earth プロジェクト」は、認知度が低い中堅の災害支援団体にも資金を届けようと、一般から集まった寄付金でつくる基金をもとに、各団体に随時寄付する仕組みを始めています。

被災地以外の自治体や一般企業でも、独自の募金や、チャリティー商品の売り上げを被災自治体や団体への寄付金に充てているところがあります。

一方で、国民生活センターには、義援金名目で現金の提供を求めるメールや電話、戸別訪問のほか、売り上げを義援金に充てると偽った商品購入の勧誘など、悪質な義援金詐欺の情報が寄せられています。

募金先を決める際は、額の多寡に関わらず、個々人が抱く被災地、被災者への思いを託すのにふさわしい団体かどうかを十分見極めた上で、どのような人に、どのような形で役立ててもらいたいのかを意識してみるとよいかもしれません。(共同通信デジタル編集部記者)

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