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AKB48からの質問。中国にアイドルグループはいるの?


写真集を日中で同時発売したAKB48の小嶋陽菜さんから、中国に関する2回目の質問をいただきました。

AKBの質問

Q:中国にはAKB48のようなアイドルグループがいるのでしょうか。

A:中国本土ではAKBのような大人数のアイドルグループは少ないようです。

これだけだと、質問の答えになりませんね。では、その理由を考えてみたいと思います。

中国でも日本や韓国のアイドルは人気です。例えば、浜崎あゆみさんのファンが作った「中国濱崎歩聯盟」というサイトは有名です。漢字で書くと、何か政治団体みたいですね。

中国で最も人気のあるのは、多くは台湾、香港出身のアイドルです。張恵妹(アーメイ)、蔡依林(ジョリン・ツァイ、写真)、楊丞琳(レイニー・ヤン)、男性ならこれはグループですが飛雲海(フェイルンハイ)などの名前は聞いたことがあるかも知れません。

台湾、香港出身は中国本土と同じ中国語で歌ったりおしゃべりできるので、歌番組やバラエティー、テレビドラマ、コンサートツアーなどいろいろな舞台で活躍できますね。日本に進出しているアイドルも出ています。

ただ、中国本土でも、ここ数年、「国産アイドル」が登場しています。例えば、「超級女声」(スーパーガール)という湖南省のテレビ局が2004年に始めた番組は、李宇春(クリス・リー、写真)というアイドルを生み出しました。

この番組は1970年代に日本で放映された「スター誕生」のようなオーディション番組で、携帯電話によりファンが投票、ボーイッシュな風貌が特徴的な李さんは325万票を獲得し1位になり、一躍トップアイドルになりました。

日本でも活躍しているローラ・チャンさんもこの番組の地方大会に出たのがきっかけで、日本の芸能界でデビューしたそうです。

さて、じゃあアイドルグループはどうなのでしょうか。

実は全くいないということはなく、ツイッターで中国のネットユーザーに尋ねたところ、一昨年(2009年)、愛朶女孩(アイドル・ガールズ)という9人組のユニットがデビューしたそうです。「愛朶(アイトゥオー)」というのは「アイドル」の音訳です。

ネットで調べたところ、9人は「モーニング娘。」など日本のアイドルユニットを参考に、平均年齢が18歳、数百人の応募者から選ばれ、1年間のトレーニングを受け、歌も踊りもできて、しかも番組の司会者やモデル、作詞作曲までできるのが売り物とのことです。
しかし、このグループを含め、まだ本格的なグループは出現していないと言っていいでしょう。

なぜなら、東大留学中の中国人学生(AKBなど日本のアイドルグループのファン)は、アイドル・ガールズを聞いた事がないと言っていました。知名度が全然低いようです。

中国国際放送(CRI)のエンタメチャンネル担当、ミン・イヒョウさんは、その理由を次のように答えてくれました。

「ご存知のとおり、中国ではAKB48のようなアイドルグループがほとんどなく、少人数のグループも日本と比べごく少ないでしょう。その要因には中国は格差社会だということがあるのではと思います。

活動中(活動休止のを含め)のいくつかを見てみますと、グループ結成時、メンバーはみんな同じ水準でスタートラインに立っているわけじゃないし、人数が多ければ多いほど、その格差は大きいものになります。

そんなメンバー間の格差により個人利益や契約上で不仲やいざこざが起き、解散してしまうケースがたくさんあります。

中国人のチームワークは弱いと前から言われていますが、グループ体制で活動するアーティストの少なさも正にその表れではないでしょうか。スターとかアイドルは表舞台の人間だから、チームワークはより大切になってくると思います。

マネジメントや市場の不健全は当然背景にあると思うのですが、やっぱり、仲間、信頼感、チームワーク、集団意識などの向上はグループ活動に向けての第一歩だと思います。日本に見習うことがたくさんありますね」

ミンさんのお答えは分かりましたか?韓国のアイドルグループも契約問題でトラブルがあると最近報道されましたが、大人数のユニットを維持していくのは大変なんでしょうね。

その点日本はアイドル先進国。日本のノウハウや経験をアジアにもどんどん伝えていけばいいと思います。(共同通信国際局記者)