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放射性物質が検出された大気や飲食物を重複して摂取しても大丈夫?

放射性物質

Q:大気のほかに、飲料水や野菜、魚からも放射性物質が検出されました。それぞれ基準値を超えてもただちに人体に影響はないと言いますが、普通の生活ではそれらを重複して長期間摂取しており、それでも大丈夫なんでしょうか?

A:飲料水や野菜、魚などいろいろなものの放射性物質は、ご指摘の通り重複して摂取した場合、単純に加算されていくことになります。よって、すべてのものが基準値を超える値で、それらを合わせて大量に長期間摂取をすると、その分リスクは高くなります。

しかし、食品の基準値は、汚染された水、牛乳、野菜などを重複して1年間、食べ続けた時の被ばく量から決定されています。

放射性ヨウ素の場合では、飲料水、牛乳・乳製品、野菜などそれぞれ全てが汚染されている場合を想定して計算されています。

具体的には、ヨウ素からの年間被ばく限度の3分の2の線量を、さらに飲料水、牛乳・乳製品、野菜に均等に3分の1ずつ割り振り、日本人がそれらを一年間取り続けてもそれを超えないように、それぞれの食品の基準値が計算されています。

また、現在基準値を超える食品、飲料水は一般家庭に出回らないよう国によって厳重に検査されています。

よって、放射性物質の濃度が高い食品を長期間取り続けてしまうリスクはほとんどありません。放射性物質を怖がるあまり、水分補給を行わないなど、過度に偏りのある食生活を送ることの方が健康を害する危険性があります。

現在、大気も飲料水もごく限られた地域を除き、線量はほぼ平常時と大差ない程度まで下がっています。

また、ヨウ素とセシウムでは、体内に取り込まれた時の影響の仕方が異なります。

ヨウ素は体に取り込まれる場合、そのほとんどが甲状腺に蓄積されます。なので、放射性ヨウ素を体内に取り込んでの内部被ばくは、甲状腺が主に影響を受け、それ以外にはほとんど影響を与えません。

一方セシウムは、体内ではカリウムと似た働きをします。カリウムは特定の臓器に蓄積はされず、血液を通し全身に分布します。摂取後は比較的早く外へ排出されますが、一部筋肉へ蓄積されます。

蓄積されたセシウムもずっと体内に留まるわけではなく、代謝によって約90日で半分の量になると言われています。よって放射性セシウムの半減期が30年だからといって、それを摂取してしまった人が30年浴び続けるというものではありません。

このように、被ばく量は足し算になりますが、全ての放射性物質で単純に足し算されるわけではなく、それぞれの物質の特徴ごとの内部被ばくの影響と、全身への外部被ばくの量を総合的に考える必要があります。

それでも、現在避難区域に指定されている以外ではその影響は大変少なく、心配をするレベルにはありません。

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