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年金制度が始まったころの受給世代は、若いころに年金を積み立てることなくもらえた?

年金

Q:年金制度は若い世代が年上の世代を支える仕組みだと思いますが、年金制度が始まったばかりの年上世代は、自身が若いころに年金を積み立てることなく受給できたということでしょうか?

A:公的年金制度が、今のように国民すべてが加入する形として確立したのは1961年。

国民年金の場合、当時の受給開始年齢は60歳でした(現在は原則65歳)が、61年時点ですでに50歳以上だった人は、保険料を1円も払わなくても全額税を財源とする「福祉年金」を70歳から受け取れるという形で、年金制度は始まりました。

公的年金制度は、原則25年以上加入して保険料を納めなければ、年金を受け取れない仕組みです。制度が始まったばかりのころは、特例として最短10年の加入期間で良いという措置も取られていました。

しかし、制度開始時に50歳以上の人は、本人が60歳までの間に保険料をまじめに払ったとしても、最短10年の加入期間を満たすことができず、受給資格を得られません。

国民年金は、国民全員が加入する「国民皆年金制度」という触れ込みで始まったため、これらの人たちにも制度創設時の救済措置として、国が負担して年金を支給することにしました。

1961年に50歳未満だった人には保険料納付を求め、それに応じた年金を支給していました。

厚生年金の場合は、加入期間の短縮などの措置によって、25年に満たない場合も年金が受給できる仕組みを設けましたが、制度発足時点で既に年金受給世代だった人に対する措置は特に講じられていません。

一方、制度発足時に50歳以上で、比較的短い期間しか年金制度に入っていないために60歳になっても保険料を年金として受け取れない人は、脱退手当金を加算して支給する措置を利用することができました。

年金制度をどういう仕組みにするかは、50年前の国会でも大きな論議を呼びました。

年金保険料を払い、それに応じて将来年金を受給する現在の年金制度の仕組みを「社会保険方式」と呼びますが、全国民に対する年金も、50歳以上への「福祉年金」のように税財源で賄う「税方式」の年金にすべきとの意見もあったようです。

しかし、税方式にすると、将来の日本が高齢化した場合に巨額の財源が必要となることが予想されます。国の財政状況によって毎月の年金額が大きく変動しては、老後の生活をしっかり支える制度にならないと考えられ、社会保険方式が採用されました。

このほか、自営業者の所得把握をどうするのか、女性の年金権をどうするかなど、現在の年金制度改革の議論と同じような論点が、50年以上前から大きな課題として注目されていたようです。(共同通信社会保障室記者)

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