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再生エネルギー法案のメリット、デメリットを知りたい

再生エネルギー法案


Q:再生エネルギー特別措置法案ってどんな内容なのでしょうか。賛成・反対両論があるようです。国民にとってのメリットとデメリットの両方を知りたいです。

A:太陽光や風力、地熱など、自然界で起こる現象から取り出せる「再生可能エネルギー」で発電した電力に関し、原則として全量を電力会社に買い取らせて、クリーンな発電を普及させようとする法案です。ドイツなど海外では導入済みです。

日本の従来の制度は、太陽光発電をする家庭などから消費電力を上回る余剰電力分しか買い取らず、採算性を重視する企業などが参入しにくかったのですが、全量買い取り制度でそれが大きく拡充されることになります。

主力の石油、石炭などによる火力発電は、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量が大きい難点があります。一方、こうした「温室効果ガス」を増やさない再生可能エネルギーは水力を除くと、まだ発電量の1%にすぎません。

同様に、温室効果ガスの排出削減に役立つと言われた原発は、福島第1原発事故で安全性への懸念が高まりました。原発の代替エネルギーの確保と温暖化対策を進めるため、菅直人首相が法案の成立を急きょ重点課題に掲げたわけです。

再生エネルギーは技術が完成しておらず、発電にかかる費用の高さが最大の弱点です。政府は電力会社の買い取り価格を高値で固定し、企業などが採算割れを気にせずに発電設備を導入できるようにする方針です。

ただし、この割高な電力の購入費は電気料金に上乗せされ、発電設備を持たない家庭や企業などが広く負担することになります。太陽光発電などが普及すればするほど、電気代は上がるというわけです。

政府は標準的な家庭の値上げ幅を最大で月150円程度に抑えるとしていますが、具体的な抑制策は明らかになっていません。

自民党や産業界は電力を多く使う鉄鋼業界などが負担に耐えられず、国際競争で不利になるとも心配しています。政府はこうした産業の省エネルギー化を支援する補助金を導入する考えです。法案の成立に向けては負担を和らげる方策の具体化が大きな焦点になりそうです。(共同通信経済部記者)

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