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台風名に付いているカタカナ表記は何?

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Q:先日、日本列島を縦断した台風15号の情報をネットで見ていると「台風15号(ロウキー)」とありました。この「ロウキー」ってなんですか?

A:台風情報にあるカタカナ名は台風の「アジア名」です。

日本国内では台風の名前に「1号」「2号」と、その年に発生した順に番号を付ける番号制が一般的ですが、航空・船舶関係者への警報文には、国際的な共通呼称であるアジア名を併記しています。最近はネットで台風情報を検索して目にする機会も多くなりました。

このアジア名は、台風の影響を受けるアジア諸国に米国を加えた14の国と地域がそれぞれ10ずつ提案してつくった140の名前のリストから、順番に付けられています。

15号の「ロウキー」は米国が提案した名前で、男性の人名です。一方、紀伊半島に大きな被害をもたらした台風12号は、フィリピン名の「タラス(鋭さ)」でした。

台風の国際名として、このアジア名が使われるようになったのは2000年から。それまでは、米国がすべての台風に英語の人名を使った国際名を付けていました。

これは、台風監視が米軍による航空観測頼りだった時代の名残で、日本では、終戦直後から1953年に番号制を導入するまでは、国内でも、「カスリーン台風」(47年)というように、米国方式を使っていました。

戦前はすべての台風を観測するのが困難で、「室戸台風」(34年)など大被害を出した台風以外は名前を付けていませんでした。

この英語の国際名に対し、1990年代になって、アジア各国から「なじみのある言語のほうが防災意識が高まる」という声が挙がり、関係各国が加盟する台風委員会で新たに定めたのが、現在のアジア名です。

2000年にカンボジア名の「ダムレイ(象)」からスタートし、リストが1巡すると、ダムレイに戻ります。台風は年間平均25~26個発生するので、現在は2巡目の後半。ロウキーはリスト125番目の名前です。

ところで、このアジア名、日本は「テンビン」「ヤギ」など、台風情報に関心が深い船舶関係者が親しんでいる星座名から提案しましたが、他の国や地域の命名には、神話の山の神(ベトナム)、伝説上の酋長(ミクロネシア)といった神秘的なものや、プリン(マカオ)、たぬき(韓国)のように、由来に首をかしげるようなユニークなものも目立ちます。

そもそも、アジア諸国の中でも、台風の名称に日本のような番号制を採用しているのは少数派で、多くの国は、それぞれ独自の命名をしてきました。米国の人名による命名は、米軍の気象関係者が遊び心で妻や恋人の名前を付けたのが始まりとされます。

ユニークなアジア名の背景には、観測の難しい自然の驚異に対する畏敬の念や、それをなんとか制御したいという願いもあるようです。(共同通信デジタル編集部記者)


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