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無料化実験が凍結された高速道路の料金は今後どうなる?

高速道路

Q:無料化実験が「一時凍結」、休日上限千円が廃止された高速道路の料金。今後どうなるの?

A:各地の高速道路で適用されていた休日千円と無料化実験が6月20日で終了したのは、東日本大震災の復興財源捻出が目的でした。入れ替わりに被災地支援として、東北地方をエリアとした高速道路無料化が始まりましたが、全国の高速道路でも料金の優遇措置は残っています。

休日千円や無料化実験の導入前からあった自動料金収受システム(ETC)搭載車対象の時間帯割引は、全国の高速道路で継続されていて、地方部の場合、普通車は休日で終日5割引き、平日は時間帯によって5割引きか3割引きのいずれかが適用されています。

割引前の通常料金が2千円に達する約70キロまでの距離なら、休日はこれまでと同じ料金です。

自公政権時代に景気対策として導入された休日千円は約2年、政権交代後に導入された無料化実験は1年間と短期間でしたが、フェリー会社が利用客を高速に奪われて廃業に追い込まれたり、鉄道業界が減収になったりと大きなしこりを残しました。

10年度の交通量調査によると、平均交通量は5年前の前回調査から道路全体で2・6%減少したのに対し、高速道路では、通行料金の割安感から7・4%の増加。渋滞も問題になりました。

もともと民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げる「高速道路の原則無料化」の段階的実施として位置付けられていた無料化実験は「一時凍結」とされ、あいまいな幕引きでしたが、当面、復活の見通しはありません。

震災復興で歳出が膨らみ、財源の確保は困難。原則無料化そのものも、民主、自民、公明の3党合意(8月)により、2012年度分の関連予算要求に盛り込まれませんでした。

事実上のお蔵入りと言えますが、民主党は原則無料化の看板はおろしていません。

今後の料金体系について、前田武志国交相は「今は3党合意が前提だが、道路交通が主体の地方は、無料化などでもっと便利に使えるようにしないといけない」「個人的には逆に大都市周辺は混雑税として料金を上げてもしかるべきだと思う」などの考えを示しています。

国交省の有識者会議が料金のあり方についての議論を重ねており、年内に方向性を打ち出す予定ですが、マニフェストの実行を求める与党の思惑や、財政難を背景に、料金制度の迷走は今後も続きそうです。(共同通信内政部記者)