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白鵬と双葉山の連勝記録は単純比較できないのでは?


Q:60連勝以上している力士は白鵬のほかに双葉山、谷風がいますが、時代ごとに条件が違い、単純に比較できないのでは?(50代男性)

A:白鵬は九州場所2日目に平幕の稀勢の里敗れ、初場所14日目から続いた連勝がついに63でストップしました。しかし、これは昭和以降では、双葉山の69連勝に次ぐ立派な記録です。

双葉山が歴代最多の大記録を達成したのは1936年春場所7日目から39年春場所3日目まで。さらに長い歴史をひもとくと、江戸時代に活躍した横綱谷風が63連勝し、3人が60連勝超えを果たしています。

ただ谷風の時代は、対戦するどちらかが休場した場合は両力士とも休み扱いとなり、勝ち負けはつきませんでした。休場しても黒星とならず、現在とは大きく条件が違います。事実、63連勝中にも1場所、全休があります。ですから、白鵬の連勝記録を過去と比較する場合、谷風を同じカテゴリーでは扱わず、不戦勝や不戦敗が正式記録として導入された「昭和以降」のくくりで取り上げていた時期もありました。


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双葉山の時代とも今とは異なる点が多々あります。まず双葉山の時代は年に2場所しか実施されませんでした。さらに1場所は11日制や13日制でした。このことで、双葉山は3年間にもわたって無敗を続けました。

今の本場所は年6度開催で、しかも1場所15日制です。昔よりもハードスケジュールで、一度けがをすればしっかり治らないうちに次の場所を迎える可能性が高まります。また、15日にわたって心身ともに充実した状態を続けることは難しいとの見方ができます。

ただ昔は場所と場所の間に長い巡業があり、各地を転々としなければなりませんでした。双葉山の場合、安芸ノ海の外掛けに屈して69連勝で止まった場所の前、今の中国に巡業へ行って赤痢に感染し、体調を大きく崩したという話しもあります。そういう意味でコンディション作りも大変で、一概に連勝をする条件が今より整っていたとは言えそうにありません。

こうしたことから、単純比較はできないでしょう。ただ、白鵬自身が「双葉山関は3年近くもの間、ずっと勝ち続けたことがすごい。もし現在のように、15日制の場所が年6回あったとしたら、いったい双葉山関は何連勝していたんでしょうね」と話しているように、過去の大横綱と同じ土俵で比べてみる楽しみもあります。

ちなみに現状と完全に同じ条件で比較するとすれば、白鵬は既に、千代の富士が1988年にマークした53連勝を抜き、トップとなっています。(共同通信運動部記者)