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大雪で電車に缶詰、JRはホテルのキャンセル料など支払うの?
Q:大雪で山陰地方や北陸地方では電車が立ち往生し、車内に人が閉じ込められましたが、JRは乗客が予定していた宿泊先のキャンセル料や車内での飲食代などを用意してくれるのですか?
A:JR西日本によると、列車で缶詰にされた影響で発生するホテルや飛行機のキャンセル料は、過去の民事訴訟の判例でも乗客がこうむる間接的な損害とされ、運送事業者が負うべき補償の義務はないとされています。
切符購入と同時に発生する事業者と乗客が交わす運送契約(旅客営業規則、JR6社とも同じ)にも明記されています。列車が立ち往生して「会議に間に合わなかった」などの苦情もみられますが、運送事業者はそこまで責任を負いません。
これはJRだけでなく、多少の差はあれ、鉄道や運送関係のどの事業者にも同じ事情があると考えていいでしょう。こうした規則は切符に書いてあるわけではないのですが、乗客側は一つの社会常識として押さえておく必要がありそうです。
ただ、直接的な損害とされる運賃や特急料金は別です。特急は2時間以上遅れると、特急料金(指定席、自由席とも)が返金されます。
また、途中の駅で下車した場合はその先の運賃が、旅行をとりやめて乗車駅に戻った場合には全額の運賃が、それぞれ払い戻されます。
列車が駅間や途中駅で、大雪などで長時間足止めされると、緊急避難的に食事などの物資が提供されることがあります。
年末年始の山陰地方、1月末―2月初めの北陸地方の大雪では、乗客に毛布のほか、おにぎりやパン、カロリーメイト、お茶やジュースなど簡単な食事、飲み物が無料で配られました。
それも契約に基づくものではなく、同社が運送サービスをきちんと履行できなかったことに対しての「お詫びの気持ち」「人道上、必要な措置」として実施しているものです。
それから、目的地までタクシーやバスでの代行サービスを行うことがあります。列車ホテルで一夜明かしてもらったり、付近の旅館やホテルまで誘導して休んでもらうこともあります。費用はかかりません。
ただ、窮屈な姿勢で休むことになる列車ホテルか、ぐっすり眠れる代替の宿泊先(ただ、必ずしも客室になるとは限らず、宴会場などに雑魚寝になるケースもありますが…)が用意されるか、乗客にとっては“雲泥の差"と言えるでしょう。
それも一律の規定があるわけではなく、同社が個別の事情を判断して決めているそうです。(共同通信大阪社会部記者)