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無期懲役刑の実際の刑期はどのくらい?

無期懲役

Q:無期懲役と言いますが、実際はどのくらい刑務所に入っている例が多いのでしょうか?

A:無期懲役は、今年7月の英国人女性殺害事件の千葉地裁判決で言い渡されたことでも話題になりました。しかし実態は詳しく知られておらず、インターネットの書き込みでも「10年ぐらいで仮釈放される」との誤解もいまだに見受けられます。

日本では死刑の次に重い刑罰だと刑法で定められています。この無期とは「期限を定めない」という意味なので、必ずしも「永遠に」という意味ではありません。

この点で、仮釈放のない終身刑と違います。ただし、無期懲役で仮釈放を認めてもらうには条件があります。

(1)刑務所に入って10年たった
(2)悔悟の気持ちがある
(3)更生の意欲がある
(4)再犯の恐れがない
(5)社会感情が仮釈放を許す― のすべてを満たす必要があります。仮に出所しても保護観察が付き、行動には制限が加わります。

法務省の統計によると、無期懲役囚は2010年末時点で1796人います。10年中に仮釈放されたのは7人で、入所期間は平均で35年3カ月でした。

それ以前では、06年の3人が25年1カ月、07年の1人が31年10カ月、08年の4人が28年10カ月、09年の6人が30年2カ月でした。仮釈放を認められずに刑務所で一生を終える受刑者もいます。

死刑と無期懲役では差が大き過ぎるとの指摘もあります。09年5月に始まった裁判員制度で市民から選ばれた裁判員が死刑判決に関わることになりました。実際に「死刑か無期か」で苦悩する裁判員も多いようです。

そこで登場するのが終身刑です。終身刑は仮釈放が認められないので、死ぬまで刑務所にいることになります。08年には終身刑を創ろうとする超党派の議員連盟が発足しましたが、法案提出には至っていません。

内閣府の世論調査では死刑存続を支持する人が大多数を占めていますが、国際社会では死刑を廃止する国が増えています。終身刑にも「死ぬまで刑務所にいる方が死刑より残酷だ」などの反論があります。

死刑制度や終身刑導入の是非を考えるためにも、無期懲役の実態がもっと広く知られる必要があります。(共同通信社会部記者)


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